|
写真■荒井考治 文■小林ゆき
1999年、ヨシムラの新たなチャレンジは、全日本スーパーバイク選手権を興味深いものにしている。
これまでの全日本スーパーバイクに、スーパーNKカテゴリーの参戦が認められ、ヨシムラも今年からスーパーNKのXフォーミュラクラスにスイッチしている。それも、900ccや1000ccなど他メーカーのスーパースポーツとは違い、重量的にハンディがあるスズキ隼でのチャレンジだ。ワークスチームがひし
めき合う中、ひときわ大柄な隼で向かっていくヨシムラを見ていると、かつて『ワークスイーター』と呼ばれプライベーターとしてワークスを脅かす健闘を見せた、80年代のF1クラスでのヨシムラを彷彿とさせる。
こうした背景には、画一化されたレース界に疑問を持つ吉村不二雄氏の考えがある。
「みんなと、違うことやってかないとね。このままじゃスーパーバイクのレースは発展しないんじゃないかという危機感がある。常に新しいことをやっていきたいし、それによって観客を魅了するレースが出来ればいいなと思う。それに、ユーザーがリッターバイクに乗っているのに、自分のより小さいバイクのレース見ても面白くないでしょう。自分以上のマシンじゃないと。」吉村氏の思想の中には、もちろん勝負も大事だが、、“面白いレース”をすることによってレースファン、ひいてはオートバイのファンを増やしていこうという先を見た考えがあるのだ。
そもそもヨシムラは、鈴鹿で始まったスーパーNKレースの初回からGSX1100Sカタナで参戦していたことがある。ユーザーに近い視点を持っているメーカーだからこそ、こうした市販車改造クラスのレースも大事にしているわけだ。
しかし、市販のビッグバイクは本来レーシングマシンではないだけに、相当な重量差がある。スーパーバイクマシンと隼とでは、実に20キロ以上もの重量差がある。しかも、その重量差のほとんどがエンジン重量の差だという。エンジンはほとんど軽量化出来ないため、車体周りでいかに軽量化するかが、スーパーバイクとのハンディを無くすポイントとなる。
「たかがボルトったってバカにできないよね。」
吉村氏のこのひと言に、マシン作りの難しさが込められているのだ。
レースで培った性能を、市販のマフラーやエンジンチューニングパーツに活かしているヨシムラだからこそ選んだのが、ポジポリーニだ。ボルト一つでもユーザーにフィードバックできる、それがヨシムラ流。
1300ccのモンスターマシンは着実に進化し、結果を残している。わずか数mmのボルトもまた、それに貢献していると言えよう。
|